こんにちは、海野真理です。
今日は「音楽教育に著作権使用料はかかるの？」というお話です。
音楽に関わる方なら必ず一度は聞いたことがあると思われる「著作権」。
一度は聞いたことが、なんていう程度のお話ではない
とても重要なことなのですが、
案外良く分かっていないこともあるのではないでしょうか。
音楽教育に著作権使用料はかかるの？
目次
ヤマハ対JASRACの訴訟が話題に！
今話題となっていますが、音楽教育の最大手であるヤマハが、
JASRAC相手に「音楽教室における著作物使用にかかわる
請求権不存在確認訴訟」という訴訟を起こしています。
私も他人ごとではない、と思いながらこのニュースを
興味深く聞いています。
この著作権、私たちクラシック音楽を主に演奏している
演奏家たちは実はとてもとても疎かったりします。
著作権とは
まず、著作権というのは
「著作者が、その著作物を自分の財産として独占的に利用できる権利。
著作者は、著作物を複製・領布することが出来る。
また他人による無断複製や利用を制約できる。
著作権は著作物を創作した時点で発生し、死後５０年間有効となる。」
とあります。
そう、最後の一文にある「死後５０年間有効」というところに注目です。
クラシックと著作権
クラシックの作曲家たちは、没後２００年とか、１００年とか
経っている方が多く、すでに著作権は失効しています。
たまにうっかりしてしまうこともありますが、
ほぼ著作権に関しては気にしなくて良いことが多いです。
没後５０年、ということですので、１９６７年以前に
なくなった作曲家の作品であれば、大丈夫ということになります。
ちょっと話は逸れるかもしれませんが、では逆に
著作権有効となるクラシック作曲家はどんな方が
いらっしゃるのでしょうか。
とても有名どころでは武満徹（日本 没後２１年）さんが
いらっしゃいますね。
ノーベンバーステップスなど、日本を代表する
近現代の作曲家でいらっしゃいます。
実際、演奏会で演奏されることも割と多い作曲家だと思います。
海外の方だと、ハチャトゥリアンもそうですね。
ロシアの作曲家で、「剣の舞」や「仮面舞踏会」が有名です。
フィギュアスケートでもよく使われますね。
ハチャトゥリアンは没後５０年が経過していないので
演奏の際には著作権料がかかってきます。
よく耳にするモーツァルトやショパン、ベートーベンにリスト、
プーランクくらいまでは完全にセーフです。
まとめ
話を少しもとに戻して。
この著作権で守られている権利、それは創作された方々の権利であり、
その作品を使わせていただく私たちは当然守るべきものだと思います。
ではなぜこの度の訴訟のようなことになっているのでしょうか。
そもそも訴えたヤマハの音楽教室の言い分は
- 「楽曲を聴かせることを目的としているわけではない。」
- 「演奏することで利益を得ているわけではない。」
- 「著作権法の立法目的にそぐわない。」
このような理由での提訴となっています。
確かに全国に膨大な数のお教室を持つヤマハさんとしては、
これはとても大きなことです。
一つ一つのお教室、はたまた、一人一人のレッスンに著作権料が
かかってきたら・・・。
かなり大きな金額になることが予想されます。
いままで明確にされなかった部分を、しっかりと線引きするなり、
検討するなり、何かしらの動きがあるとまた違ったものになりそうです。
何にしろ、私はどちらの意見ももっともだと思いますし、
どちらも守られなくてはいけない権利だと思います。
ちなみに、私のピアノ教本、著作権に関しては大丈夫です！
ポップス曲を扱っていますので、JASRACさんに申請をして
著作権料をお支払しています。
ですが、この曲をもしステージなどで弾く、となるとややこしい
ことになってくるかもしれません。
ちょっとご注意くださいね。
音楽教育を目的とし、音楽の楽しさを多くの方々に！
という立場での今回の訴訟は、今後の音楽業界に
大きな波紋を呼びそうな気がします。
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