こんにちは、海野真理です。
今回は「この曲が全然違うイメージに!~編曲のマジック~」
というお話です。
私たちが楽しんでいる音楽、いろんなジャンルがあり、
いろんな楽器が存在します。
クラシックの分野でいくと、ソロ、デュオ、トリオ、カルテット、室内楽、
オーケストラ、吹奏楽、オペラ、などなど、形態も楽器も様々です。
楽器の種類、数、演奏人数などで音楽はガラリと変わります。
繊細だったり厚みがでたり。
絵画でいうと水彩画と油絵とデッサンと、といった感じでしょうか。
作曲家が何を表現したいか、なにからインスピレーションを感じたか、
などで、ピアノ曲として書いたり、フルオーケストラで書いたり
されているのだと思います。
その作曲家の意思、思いというのは絶対!私たち演奏家はその作曲家、
作品に敬意を持ちながらその作品を心から理解し表現することに
力を注ぎます。
ですから勝手に音を変えたり、手を加えたりすることは
絶対にタブーです。
しかし、編曲というマジックで原曲よりもすばらしい作品が
生まれることがあります。
今日は編曲によって生まれた名曲についてお話します。
編曲とは
「既存の楽曲において主旋律をそのままに、
それ以外の部分に手を加えて、楽曲に幅を持たせる作業」の事で、主旋律に手を加える場合は、変奏といいます。
(Wikipediaより)
そしてこの編曲が原曲と違った名作になる、というのは編曲の方法も
とても大きいと思います。
名曲を生み出す 編曲パターンをご紹介
目次
- パターン1 原曲とは違う楽器編成で演奏をする。
(ピアノ独奏に作られた曲をオーケストラに編曲するなど。) - パターン2 原曲とは違うジャンルやスタイルで表現する。
(クラシックをジャズ風にアレンジするなど。) - パターン3 未完成な原曲を完成させる。
- まとめ
パターン1 原曲とは違う楽器編成で演奏をする。
(ピアノ独奏に作られた曲をオーケストラに編曲するなど。)
もっとも有名なのはムソルグスキー作曲の「展覧会の絵」
ムソルグスキー/組曲「展覧会の絵」
冒頭、トランペットの「ソーファーシードファレードファレー」の
あの有名なメロディーですね。
この曲のオリジナルはピアノ独奏ですが、
ラベルが管弦楽用に編曲しました。
プロムナードのトランペット、不気味な雰囲気のファゴット、
ひよこのフルートピッコロ、そしてキエフの大門のフルオケならではの
ダイナミックさ、打楽器の効果。
演奏効果に富み、こちらのほうが有名くらいになりました。
他にもリストの「ハンガリー狂詩曲」や「メフィストワルツ」、
ラベル「亡き王女へのパヴァ―ヌ、ブラームス「ハンガリー舞曲」
などなど、もっとたくさんの名曲があります。
たくさんの楽器による、音色の変化、表現の幅広さ、圧倒的に
独奏と違う音量など、単一楽器にはない魅力がポイントだと思います。
パターン2 原曲とは違うジャンルやスタイルで表現する。
(クラシックをジャズ風にアレンジするなど。)
こちらはガラッとイメージ変わる面白さに魅力を感じます。
ショパンの「ノクターン」あの一番有名なノクターンをボサノヴァ風に
編曲してフルートで演奏、というのを聴いたことがあります。
ボサノヴァ風 ノクターン
「幻想即興曲」や「革命のエチュード」をエレキギターで、
というものもありました。
楽譜としてきちんと出版されているかは疑問ですが、
(演奏家の即興かもしれません)
これはこれで「へえ~~!」という感激があります。
パターン3 未完成な原曲を完成させる。
こちらは作曲者が作曲の途中で亡くなった後、弟子が楽曲を完成させる、
ということが多いです。
有名なのはモーツァルトの「レクイエム」。
モーツァルト/「レクイエム」
死者のためのミサ曲そ作曲中に自分自身がなくなるということで、
「彼は死の世界からの使者の依頼で自らのためにレクイエムを
作曲していたのだ。」
という伝説が流布したそうです。
また、ベートーベンが「交響曲第10番」として
作曲されていたとみられるスケッチが発見された時は騒がれ、
大変話題になりましたが、
結局この曲は断片的なスケッチで終わってしまいました。
ベートーベンの意思を継いだお弟子さんによって完成されていたら、
今頃は演奏会で聴くことができたのかな、と少し残念です。
まとめ
私たちピアニストは、自分がピアノ曲をお勉強するときには
必ずと言っていいほど他のアレンジがあれば聴きますし、
オケ版がないかな~と探したりします。
最終的に演奏するのはピアノでも、表現の上で参考にしたいからです。
この作業が実は私は大好きで、
「なるほど~、ここは木管楽器のアンサンブルね。」とか
「ここは弦楽器のピチカートのようなスタッカートね。」
と発見があるたびに、自分の表現の幅が広がる気がして楽しいのです。
愛好家として聴かれる方も、一粒で二度おいしい!?気分になれる
「編曲、アレンジ」
どうぞ興味をもっていただいて、聴き比べてみたりされることを
お勧めします。
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